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せっかくだから楓君との萌えるシチュエーションの超短編でも書いとくか。
私…先生(楓の担当医)、楓…患者という設定で。
キャラ壊し、文体のおかしさ、展開の速さがカオス!
絶対に期待しないようにw
ここはとある精神病院。私は他所から転勤してきてまだ数ヶ月しか経っていない。
当然信頼は薄く、ついには担当している患者から別の人に替わるように言われる始末。
周囲には明るく振舞うものの、正直私は自信をなくしていた。
そんな時、一人の青年が私の前に現れた。
今まで見たこともない美青年。しかし目は虚ろで、その整った顔には表情がなかった。
どうしてだろう。この青年を救いたいと思った。青年の中に自分がいるような、複雑な気持ちがした。
青年は診察が終わるまで、一瞬たりとも無表情を崩すことはなかった。
その青年の名は「楓」というようだ。
よく病院の広場や休憩室に一人でいることが多いので、ある時声をかけてみた。
「楓君」
「あ…先生」
「どうしたの? ぼーっとして」
「別に。理由なんかない」
楓は素っ気なく答えたが、私に関心はあるようだ。組んだ長い足をこちらに向けている。
「…先生は家族との思い出ってある?」
「うん、あるよ。旅行行ったり」
「随分と幸せなんだな」
「楓君は…?」
「ない」
楓は目を伏せそう答えた。診察で彼は家族とあまり関わらないと言っていたが、まさかここまでとは。
悪いことを聞いてしまった。
「ごめんなさい…」
「先生は悪くねー。あいつらが悪いんだ」
あいつらとは家族のことだろう。吐き捨てるような口調からして相当酷い扱いをされてきたに違いない。
と、突然楓が泣き出した。人形のような顔に涙が零れ落ちる。
私には一目でわかった。これは寂しさからくる涙なのだ。
私も転勤したての頃、よく自宅や病院のトイレで隠れるように泣いた。その時鏡に映った顔は、まさに今の楓と同じ表情をしていた。
「大丈夫」
私は言って楓を抱きしめた。彼は私に凭れかけるように身を任せ、じっとしていた。
その柔らかい髪を撫でてやる。すると楓からも手をまわしてきた。次第にそれは強くなっていく。
「先生…俺、寂しい…」
「私はずっと楓君の傍にいるから」
「本当に…?」
「私は嘘なんかつかないって。ずっと一緒だよ…」
気がつけば私の服は濡れていた。涙が滴り落ちたのだ。それは留まることを知らなかった。
楓を担当して1ヶ月が過ぎた。彼とはより親密になれたが、最近になってなぜか投薬の指示に背くようになった。なかなか従わない時は無理矢理飲ませたりもしたが、少しでも私が離れるとそれをどこかに捨ててしまう。
今日もゴミ箱に薬が無造作に捨ててある。
「こんなことしちゃいけない。楓君治らなくなっちゃう」
「それでいいんだ」
「よくないよ」
「治って退院したら先生と離れ離れになる。だったら病気なんか治んなくていい。このままでいいから先生と一緒にいたいんだ…」
楓は寂しそうな顔でそう答える。今にも泣いてしまいそうな声。
「私は楓君が退院しても、けして離れない。楓君がよければ…お家にも遊びに行くよ」
「でも先生…」
「私は楓君が一番大切なの。自分よりも、誰よりも」
私は微笑みながら言った。楓に笑ってほしかったからだ。私は彼の嬉しそうな顔を見たことがない。私が微笑んでいれば、いつか一緒に笑ってくれるだろうか?
「先生…好き」
「私も楓君のこと、好きだよ…」
無言で楓が抱きついてきた。彼からこうしてくるのは初めてだ。温かい。久しく感じていなかった温もり。それを身体全体で受け止め、私の心は懐かしさと幸せで満たされていった。
しかし好きと言った筈なのに、まだ心のどこかでは躊躇いを感じていた。
私は楓の先生で、楓は私の患者。超えてはいけない一線がある。
それを超えてしまったら、今の二人の関係は崩れてしまう。
それが怖かった。
私は無意識のうちに楓の唇を見つめていたが、それを欲する気分にはなれなかった。
もどかしかった。私が先生でなかったら、こんな苦しい思いなんかしなくて済む筈だ。
しかしその姿を楓はおそらく望んでいない。楓はきっと、先生である私を好きになっているんだ。
「先生…悲しいの…?」
また私は泣いてしまっていた。楓の前では笑っていようと決めていたのに。ただそれだけなのに、それすらできないなんて…弱い私。でも、このままじゃいけないんだ。楓は、私の大切な患者さんだから。その思いを踏みにじるなんて、医者として、人として最低なんだ。
「ううん、嬉しいのよ」
私は袖で涙を拭い、笑顔で言った。
―続―
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最近は絵にも手を出し始めました。
大したものはありませんが、HPにも遊びに来てください。